「IT小技」も久しぶりだ。それほど日々のPC環境には変化がなく、現状でほぼ問題なしで新しい発見もなく、ということだったと思うが、ひとつだけ手を焼いている問題があった(実はもうひとつあるのだが)。それは、愛用のノートPCのディスク性能が作業に支障を来すまでに低下している、ということだった。別に、ディスクが壊れそうとか、品質が劣化したとか、そういうことはないと思う。OSやアプリケーションを絡めた利用環境に、ディスク性能が追いつかなくなった、というところだろうか。
愛用のノートPCは、松下電器産業のレッツノートCF-Y2型である。現行機種はCF-Y5だから、3世代前の機種ということになる。購入してから3年近く、特にトラブルもなく働いてくれている。毎日勤務先と自宅の間を往復し、職場でも自宅でも電源の入っている時間が長い、ほとんどフル稼働という状態で、よくもきちんと動いているものだと感心する。価格はちょい高いが、購入して損のない「痛好みの」ノートPCだ。このCF-Y2は、実は内蔵HDDの換装手術を受けている。詳しくは、下記の記事を参照して欲しい。
参考記事:ノートPCのHDDを取り替える。
この手術によって、内蔵HDDの容量は40GBから100GBへ増強され、ディスク回転数などのパフォーマンスに関連した数値もアップした。なので、標準よりは使い勝手は向上したはず、である。もちろん、手術後は性能の好転に喜んだものだが、1年以上もその状態で使い続ければ、その状態が当たり前になってくる。勝手なものだが、しようがない。
また、同じHDDを長い間使っていると、どうしても性能悪化は避けられない。この場合、Windows XPのファイルシステムであるNTFSが経年劣化を起こし、まっさらに近い状態に比べれば、アクセス性能は確実に低下していく。これは、使い込んだファイルシステムが必然的に抱える問題で、要するにデータファイルがディスクのあちこちに分散して置かれたり(フラグメンテーション)、管理情報もディスクのあちこちに分散するか、あるいは肥大して処理に時間がかかるようになるとか、いろいろな問題が起きてくる。前者は「デフラグ」というツールである程度解消できるが、後者はどうしようもないらしい。解決するには、とにかくファイルシステムをまっさらにし、最初から環境構築を行っていくしかない。
何が問題になってくるかというと、OSやアプリケーションが稼働するために必要なデータはどんどん増加するのに、ファイルシステムは劣化し、それでもHDDの性能はそのままである、ということだ。必然的に、あらゆる動作は遅くなる。アプリケーションを複数起動し、何日も同じ状態で使っていると、どんどん遅くなってくる。ファイルを1個ごみ箱に送り込むのに1分近くかかることもある。ブラウザの切り替えに数十秒、メールのダウンロードに数分かかることもある。これでは効率が上がらない。どうにかならないだろうか?
解決策は、1)メモリ容量を増やす、2)HDDをもっと高性能なものにする、3)アプリケーションをできるだけ起動しない、4)こまめに再起動する、といったところだろうか。4)は、これをやっているとノートPCの利便性が低下するし、3)は必要なものを起動しているのだからしようがない、2)これをするなら環境構築をやり直しても同じ、1)はもう無理(最大768MB)、というところだ。これではお手上げかと思っていたら、Windows自身をチューニングする手があるのではないか?と思い、調べてみたらやはりあった。で、試してみたら効果はあったので、紹介してみたいと思ったのである。
この方法は、Windowsの管理情報データベースである「レジストリ」を直接触るものなので、ミスをしたりすれば最悪Windowsが起動しなくなったり、正常動作しなくなる。そのつもりで、何かあっても自己責任と言うことで、読んで下さい。
まず、レジストリエディタを起動する。「スタート」→「ファイル名を指定して実行」から、「regedit」と入力して起動する。そして、下記のキーを探す。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Memory Management
そこに、IoPageLockLimitというキーがあるので、その値を適当な値に増やしてみる。デフォルトでは、0になっており、これは規定値を意味する。このキーの意味は、ディスクなどの物理デバイスとの入出力に使うバッファのサイズで、規定値は512KBである。十分にメモリを積んだコンピュータなら、これを4MB程度に増やせば、入出力性能が向上する。さっそく、「4096000」と10進数で入力する(単位はバイト)。これで、規定値より8倍の大きさのバッファを使ってディスクの読み書きを行うので、かなりスムースな動きになる。もちろん、この値は目安なので、いろいろな値を設定してみて使用感を試してみればいい。
設定後は、必ずPCを再起動すること。でないと、設定が反映されない。この設定によって、だいぶストレスは軽減された。意味不明のディスクアクセスを分単位で続けられて、不毛に時間を消費することも少なくなった。どうしても、デスクトップPCに比べて性能が劣ると言われているノートPCだが、工夫次第では性能を上げる余地はまだまだあると思った次第である。
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