来年卒業の大学生の内定率が芳しくないようですね。これも景気が悪いせい、政策がなっていないせい、という見方がありますが、実際はそうでもないような話を聞きました。これって典型的な需給ギャップというやつで、企業の求める人材と、応募者の求める企業が両思いになっていない、そんなところが大きいのではないかということでした。
不安定な世情を反映してか、新卒者はより大企業指向が強まっているようで、とにかく大企業、有名企業を、といった感じになっているケースは少なくないようです。また、既卒者でも、土日が休める仕事、残業などがない、現場よりは事務、というようになっていると聞きます。
実際、仕事がないのかといえばそんなことはないようで、知名度が低い、規模が小さい企業だと、求人を出してもほとんど応募がないというケースは珍しくないそうですね。また、土日出勤があったり、労働環境が厳しかったり、そういった場合も厳しいようです。
これは、安定・低負荷といった応募者のニーズに対して、現実がそうなっていないというギャップですが、採用する側の企業から見たギャップはどうなんでしょう。
企業側は、一時期のように、とにかく大きな網でさらって使えるものを育てるといった発想から、最初から使えそうな人材を引っ張ってくるという発想に変わってきていると見えます。これは別に経験者に限るといったことではなくて、学生を中心とした未経験者でも、そういった素養を持つ人物を採っていきたいということです。
日本マクドナルドでは、インターネットによる応募で1000を越える応募者があったにかかわらず、実際には定員を下回る50名ほどしか採用に進まなかったと聞きます。どういうことなのかというと、マクドナルドではとにかくまず現場に立つ、店舗に出る、というのを方針として持っていますが、そんなのはイヤだといった応募者が多かったということだそうです。商品企画なんだから、本社のキレイなオフィスで働きたい、ごちゃごちゃした店舗はイヤだ、そんな声が多かったそうなんです。
内定率が下がった、これはまずいと表面的なことばかり追っていると気付きませんが、実際には「こんな人に来て欲しい」というのと「こんなところで働きたい」という両者に、すごいギャップがあったということなんですね。これでは一生かかっても結婚できないでしょう。
結婚といえば、「婚活」というキーワードが今年は飛び交いましたが、これも需給ギャップが大きいものの最たるものではないかと思うのですが、いかがでしょうか?聞けば、ある婚活パーティへの応募者に、男女で10倍の開きが出たとか。男性が多いと思ったら、実は逆のようです。女性の方が10倍多かったと、そういうことらしいです。
数だけの話ではありません。何でも、婚活に臨む女性は、専業主婦指向が強く、社会的地位もあって収入も安定した男性を望むとか。それに対して男性は、一緒に働き、家庭を切り盛りしていってくれる女性を望んでいるとか。これでは、上で書いた企業対応募者の構図と一緒で、一生かかっても結婚できるわけがありません。
これはもう、草食とか肉食とかといったレベルの話ではなく、価値観が完全にずれているということでしょう。
実は私は、まともに就職活動をしたこともなく、婚活もしたことがありません。なのであまり偉そうなことを書ける立場ではないのですが、自分であれば、まずは誰かに必要とされることを目指すかと思います。その上で、相手に求めるものを形にしていく、そういったステップをとるかなぁ、と。このとき、両思いが成立すれば、就職だろうが、結婚だろうが、めでたく成立です。いうは易しですけど。
求めるものははっきりしているのはいいことだけれど、それだけでは厳しいのではないかなぁ、と心配になるような話でした。
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