【つぶやき】暗黙のスキルってすごいのでは?

先日、デザイナーさんと打ち合わせがてら雑談に励んでおりましたが(これが大事)、ふと「プロのカメラマンはすごいねぇ。」という話になりました。

カメラマンのどこがすごいの?という流れになるのは当然といえましょうが、いい写真を撮るのはプロなら当たり前で、最近はアマチュアでもプロ顔負けの写真を撮れたりします。ではどこがすごいの?

それは、すごいことをやっているのを感じさせないのに、すごい結果を出すというところ。しかもスピーディに、よどみなく。プロなら仕事はたくさんあるので、ひとつの作品に手間も時間もかけてられないケースも多いでしょう。それでもしっかり結果を出していく、そういうところがすごいというのです。

端から見て(特に我々のような素人が)、何かすごいところを感じさせないが、結果はすごい。うまく言い表せないのですが、そんなことのようです。

そういえば、あるイラストレーターさんたち。もともと単行本の編集者の経験、エディトリアルデザインの経験がある彼らは、どのような本に載るのかと言うことを聞いておけば、素晴らしく掲載しやすいイラストレーションを仕上げてくるとか。彼らは、テキストの具合、本のサイズ、紙の種類などを情報として吸い上げ、作品に反映させることができるのです。

本を作っていると校正が付きものですが、校正を専門にする人たちもおり、校正者クラブというものもあるそうですね。校正と言えば、ゲラを読んで誤字脱字や用語用法のエラーを見つけるのが仕事ですが、これだって誰がやっても同じ結果が出るわけではないんですね。

ところで私は書籍編集者ですが、これも誰でもできるような仕事と思われているところがあって、誰でもできることから逆に編集者はつぶしがきかない(=特別な技能なんてない)と言われることもしばしばなのですが、じゃぁ今日からあなたは編集者です、と言われて「はい」といえるような仕事でもないんですね。

クリエイター間の会話ですから、出てくる職種も偏っているのですが、マニュアル化できそうで、ハウツーもきちんと学べば誰でもできそうな感じがします。写真を撮るための本はたくさんありますし、イラストレーションしかり。校正にマニュアルなんているの?って世界ですし、編集者ってそもそもハウツーがいるの?って感じです。

しかしまぁ、ハウツーがあるとして、それを身に付ければ誰でも「すごい」仕事ができるのかというとそうでもないわけで。やはり、外から見えない、感じ取れない部分にこそ真のスキルというのがあるわけで、それをあえて「暗黙のスキル」と読んでみました。

インプットがあれば、頭が何か考える前に体が勝手に動くという感じです。ですから、反応もスピーディです。よどみないですから、端から自然に見えます。つまりこれは、何か特別に何かやっているようには見えない、特別なこと何て何もない、というように見えるわけです。

しかし同じようにできるかというと、できないわけですね。もっとレベルを落とせば、「デキル」人と「できない」人の差は、こんなところの有無にかかっているような気がします。毎日、同じ時間だけ仕事をしているのに、不思議ですね。

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