【コミック】料理マンガの先駆け!「包丁人味平」—牛次郎・ビッグ錠

やっと全巻揃いました。知る人ぞ知る、料理マンガの先駆けです。牛次郎原作、ビッグ錠画、「包丁人味平」です。文庫で12巻あります。揃えるなら文庫と決めていましたので、けっこう時間がかかってしまいました。

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連載は私が小学生のときですかねぇ、少年ジャンプ。歳がわかってしまいますけど。え?ほぼわかっている?そいつは失礼しました。

包丁人味平 1 (集英社文庫―コミック版)
包丁人味平 1 (集英社文庫―コミック版)

何で今さらこれを読みたくなるのかといえば、これをネタにしたパロディとか、ちょこちょこと出てくるからなんですよね。「ああっ女神さま!」とか「ミスター味っ子」とか…。ラーメン特集のTOKYO WALKERの表紙も飾ってましたね。見かけるたびに、あれってどんな感じだったっけかな、とか考えるんですよね。

ということで、ぶっ通しで(実際には間を開けながら。どっちよ?)読んでみました。

以下感想。一部ネタバレになりますのでご注意。

・絵は…、こんな感じでしょうか…。当時のマンガの絵って、みなこんな感じだったと思います。「サーキットの狼」だって決してうまいわけじゃ…。

・主人公の塩見味平はじめ登場人物に味があっていい。要は、下町、職人、そういった元気の良さが全編を覆っている感じ。こういうの、嫌いじゃないです。特に、味平のオヤジの松造、キッチンブルドッグのチーフコックの北村さんとか、好きです。

・古い街並みがよい。まぁ昔の漫画なんだから当たり前なんですけど。銭湯なんてなかなか出てきませんけど。「巨人の星」だってそうじゃないかと言えそれまでですけど。けどばっかだな。

・特に意識して書かれているわけじゃないだろうけど女性がカワイイ。非常にシンプルな線で女性を書いている割には。諸星大二郎に通じるものがある。とはいえ、そうでない女性にはとことん冷たい。

何だよ、食べ物とか肝心のストーリーについてのコメントはなしですか?でもなぁ、味がよくわからないというか…。モゴモゴ。

あとはちょっとネガティブな話。ネガな話はイヤだなぁ、という人はこのへんで。

・とにかく喫煙シーンが多いのですよね。客も通行人も料理人も、皆指にタバコを持っているくらい。今だったらあり得ない!魚をさばき終わったら、そのまま一服、なんて信じられない。昔はおおらかというか寛容というか、よい時代でしたねぇ、吸う人には。「この洗いを作ったのは誰だあ!」と言われちゃいますよ。

・脇役のその後がまったくわからないんですよ。弁天の大五郎とか包丁貴族のどなたかとか焼津の料亭の娘さん(久美子さん?)とか、カレー勝負の味平ラブの女の子とか。その後が気になるじゃないですか!でも、最初と最後にだけ出てきたおばあさんとかいましたねぇ。

・話が長いせいか、つじつまが合わなくなることが。たとえば荒磯勝負では、最初に「荒磯焼き」で勝負することが宣言されていたんですが、いざ勝負の段で「荒磯焼きだってぇ?」と味平に驚かれるのですよ。これはあとで聞き漏らしたことになっていますが、編集者的にはこういうのはすごく気になります。

・裏付けのない話が多いかなぁ、と。少年漫画だろ、といってしまえばそれまでなんですが。包丁貴族との勝負の味平ライスとか、最終シリーズの味平ラーメンは、どうしても味のイメージが湧かない。結局味の評価がなくて勝負だけだったり。ちょっと欲求不満な部分ですね、どうも格闘技的です。

とまぁうるさいことも書きましたが、そういったことは抜きに、勢いを楽しむ作品です。勝負が終われば、適役は皆さん柔らかくなって、中には味平のために働く人も出るという、という少年漫画の王道もきっちり押さえてますがな。

最近の料理漫画はインフレが凄すぎる!何がセンチュリーか!とお感じのあなたにお勧めですぞ。

コメント

  1. 匿名 より:

    自分も一言
    ラーメン編で審査員が驚いた様子で味平の麺を試食し、ちぢれ麺にしたのはこのためだったのかと驚く様子のシーンがありましたがその説明がさいごまで出なく終わってしまいました。なぜちぢれ麺なのか説明がききたかった。

  2. なおさん より:

    コメントありがとうございます。原作者が雑なのか、漫画家がスルーするのか、どっちでしょうね。連載を読んでいる時点では、観衆の歓声や勢いに押されて細かいストーリーはわかりませんね。