カセットテープをデジタル化しよう(6)

MP3ファイルには、IDタグという情報を設定できる。IDタグには、タイトル、アーチスト名、アルバム名、メモ、年次、ジャンルなどの情報を設定できる。これらの情報をあらかじめMP3ファイルに設定しておけば、iTunesでインポートした際に適切にフォルダが分けられるほか、あとから設定する手間が省ける(設定自体は必要なのだが)。Sound It! 3.0LEにはIDタグを編集する機能も付いているので、今回はそれについて触れてみよう。

Sound It! 3.0LEにおけるタグ情報の編集は、読み込まれているファイルの形式に依存する。WAV形式とMP3形式でタグ情報の設定が可能になっている。WAV形式のファイルを読み込んだら、WAV形式に依存したタグ情報の設定ができるが、タイトルなど非常に限られた情報のみで、当然MP3におけるものと互換性はない。MP3ファイルにタグ情報を設定するには、いったんMP3形式でファイルを保存し、それを読み込む必要がある。さらにタグ情報の設定後に保存する必要がある。この保存が曲者だ。

MP3は、WAVなどのように可逆性はなく、不可逆圧縮が行われている。つまり、いったん圧縮してしまうと、何をどのようにしても圧縮前の状態には戻らない。MP3は人間の耳の特性(というか脳の錯覚)を利用した圧縮方式が採られているので、圧縮時に多くの周波数成分が失われている。なので、これを元に戻しても(デコードしても)圧縮前の状態とは同じではない。さらに、これをさらに保存すれば、また欠落が起きることになりますますもとの状態からは離れていく。これは、避けられない特性だ。

IDタグを設定して保存したら、IDタグだけ書き換えてくれればいいのにと思うのは人情だが、実際にはデコード、エンコードの繰り返しで波形はどんどん崩れていっている。IDタグの設定前と設定後で何で音質が変わるのか不思議だったが、単純な理屈であった。なので、Sound It! 3.0LEでIDタグを設定するのは得策でない。あくまでもMP3ファイルの書き出しまでにとどめておいた方がよさそうだ。

では、何でIDタグの設定を行うか?実は、こういった目的のためのフリーソフトウェアは多数開発されている。その中でよさげなものを、窓の杜で見つけた。T-Matsuo氏によるmp3infpである。これは、エクスプローラを拡張し、ファイルのプロパティウィンドウに専用のタブを追加し、そこで表示、設定などが行えるというものだ。デコード、エンコードは行わないので、音質の劣化はない。さっそく試してみよう。

インストールは簡単で、ダウンロードしたファイルを実行するだけだ。インストーラが起動するので、指示どおりにインストールする。インストールが済んだら、Sound It! 3.0LEで書き出した適当なMP3ファイルのプロパティを表示させてみよう。プロパティウィンドウに、ID3v1, ID3v2, APEという3つのタブが追加されている。ID3v1とID3v2というのがMP3のIDタグだが、バージョン1とバージョン2があり、バージョン2の方が設定できる項目や文字数に柔軟性がある。バージョン2すなわちID3v2形式で設定しておけば、iTunesにインポートした際に多くの情報を取り込める(ただし設定すべき項目も多くなり面倒かも?)。通常は、ID3v1で十分だ。

mp3infp-01

下の方に、「Tagを作成」というボタンがある。このボタンを押すと、MP3ファイルの最後にタグのための128バイトの領域が付加される。さっそく押してみよう(確認メッセージが出るが、「はい」を押さないと先に進まないので、押す)。

mp3infp-02

タイトルにはデフォルトでファイル名が入るので、適当に編集する。ちなみに、トラック欄に入力すればID3v1.1という少し新しいバージョンになる。

mp3infp-03

iTunesに取り込めば、このようにアーチスト名、アルバム名なども自動的に設定される。ID3v2形式にして作曲者名などを設定すれば、それも取り込まれる。

さぁ、あとはばんばんテープからキャプチャして、WAV形式で保存して、読み込んで選択してMP3保存してIDタグを設定してiTunesにインポートするのをひたすら繰り返すだけだ!しかしテープは何巻あるんだ?気が遠くなりそうだが。

(ここだけの話、ベータのビデオテープ、古いVHSのビデオテープも多数あり、同様に邪魔者扱いだ)

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